戒が凍り付いたように目を開いてあたしを見ている。


声が張り裂けそうだった。


同じぐらい心も。


力の限り叫んで、今度はカーテンが大きくゆらりと揺らめいた。


「お嬢!」


キョウスケが今にも戒に殴り掛かりそうなあたしの肩を必死に抱き、止めている。


戒はただ目を開いてあたしを凝視し、だがその琥珀色の瞳の中に金色の線は消えていた。


ガラス玉みたいなきれいな二つの目があたしを捉え、その表面にあたしの顔が映った。


そんな目で見るなよ。



そんな目で―――






あたしを見んじゃねぇよ!!!



流れる


溢れだす




あたしの汚い気持ちと言葉が




止められない




「事件が解決されてもな!毎夜毎夜その時間になると居ないはずの男の存在に怯えて目が覚める!


足音が聞こえる。香りを感じる!




息遣いを――――




そんな幻覚や幻聴に悩まされて、壊れそうになって。押しつぶされそうになって…


そんな被害者の気持ちをお前は―――」


最後まで言い切らないうちに


「お嬢!」


キョウスケがあたしの肩を強く掴み、再びあたし顔のすぐ近くであたしを覗き込んできた。