「協力するって、お前…面が割れてんだぜ?


あのコーチがお前の正体言いふらしたら…」


「言いふらせんようにしてやるさかい、安心しぃ」


ボキボキっ


戒は指の関節を鳴らし、ニヤリと口元をひん曲げた。


た、頼もしいな…




でも



戒がそこまでエリナのことを考えてくれているのなら、


あたしも―――


あたしもエリナのために覚悟を決めるよ。





―――


その日の帰り、あたしたちはまっすぐ家に帰るわけではなく鴇田組へと足を向けた。


一人じゃ心細いけど、今は戒と一緒。


戒と手を繋いで事務所に向かう最中―――指の先から伝わってくるぬくもりに安心できた。


「うさぎちゃんとひつじちゃんじゃないーー!!Wow、おそろいで♥」


出迎えてくれたのは変態タイガで。


お呼びじゃない!


鴇田は所長机で仕事中で、そこまでたどり着くまでタイガが纏わり着いてくる。


「ねぇねぇ、今度新しいケーキ屋さんがオープンするみたいだよ♪

うさぎちゃんもひつじちゃんも一緒に行こうよ~」


「ケーキ屋?」


食いつくな、戒。


タイガの提案に立ち止まる戒を引きずりながら、何とか鴇田のデスクに到着。