あたしは薔薇の花束を抱えたまま寝室に戻った。


叔父貴もソファでくつろいでグラスに口をつけている。


どこに座れば一番いいのか分からず…たぶんこの場合だったら対になってる一人がけ用のソファだろうな。


あたしはそこにおずおずと腰掛けた。


大きな薔薇の花束をどこに置けばいいのか分からず、抱えながら何となく花に顔を近づけて香りをかぐと


カシャッ


小さなシャッター音が聞こえてきて、あたしは顔を上げた。


叔父貴はタバコを吸いながらスマホを掲げていて、


「てか!今っ!!写メ撮った!?」


びっくりして立ち上がると、


叔父貴は、ははっと喉の奥で無邪気に笑い、


「このケータイにお前の写真入ってなかったから」


「かと言って無断で撮るなよ!ちょさくけんしんがい(←漢字変換できないおバカ)だぞ」


「じゃぁ同意を得たらいいのか?」


またも意地悪そうに聞かれて、あたしは恥ずかしさを紛らわせるためぷいと顔を横に背けた。


「朔羅ー…さーくーら~…」


叔父貴はケータイを構えながら何とか釣ろうとしてるけど、改めて被写体になることを考えると恥ずかしいし。


パシャッ


またも音がして


「まだ同意してねぇっつの」


思わずいつもの調子で喚くと、






「可愛く撮れてるぞ?




お前ももう薔薇が似合う歳になったか」







叔父貴がスマホ画面を覗き込んでしみじみ頷いた。