叔父貴は言葉通りに一分を経過すると、すぐにケータイの電源を切った。


それでも尚も追いかけてくる覆面パト。


お、追い払えなかった!?


焦って鴇田の運転する運転席と背後を見比べていると、


やがてパトカーはサイレンの音を消し去り、車もスピードを落として完全に止まった。




叔父貴





一体どうやって覆面パトを黙らせたのか謎だったけど、


やっぱすっげぇ人だな。


その後は車は安全運転で、多少わき道の細い道がありつつも順調に走っている。


てか鴇田ぁ!


もっと安全運転で振り切れよっ!乙女の顔に傷がついたらどーしてくれんだよ!


一人でプリプリ怒っていると、


「GPS……」


戒は唇に手を当て一人真剣に何事か考えてる。


そして少し考えると、慌てて自分のジーンズのポケットからケータイを取り出した。





「俺のケータイ……電源入ってへん。



あんた…何したんや」





戒はケータイを握り締めながら助手席の叔父貴の方を睨み、



「ほぉ。勘が良い様だな小僧。



お前たちの居所も知られるわけにはいかないんでね。



少しの間、電波を妨害させてもらってる」





叔父貴は黒い小さな箱をふらふらさせてニヤリと笑う。



あたしは言われてはじめて慌ててケータイを取り出した。


ほんとだ……ケータイの電源、落ちてる。






「GPS妨害もそうだが、外部に連絡を取られるとマズイんでね。


少しの間だけ辛抱しててくれよ?」






叔父貴―――…どこへ行こうとしてるんだよ。