「えっと、俺の席は・・・Fの25」
どこだろうと探してみると、中央の真ん中の席だった。
真ん中か。
てことは両端に誰か座るってことだよな。
俺挟まれるの好きじゃないんだけどなー。
ま、仕方がないか。
隣が親しくない奴でも誰でも構わないし。
そう思い、真ん中に座った。
まだ両端の二人は来てないみたいだ。
キョロキョロと周りの人を見渡す。
すると、
「あれ・・・。
もしかして隣空くん?」
「え?」
左から声がして見てみると、Fの席で切符を持って止まっている柚希がいた。
「なんだ、左柚希なのか?」
「そうみたいだね。
Fの26ってここだよね?」
「あぁ」
ってことはホントに隣ってわけか。
「あ、あの・・・」
「ん?」
今度は右から声がして振り向くと、切符を両手に持って握りしめている真理奈の姿があった。
「真理奈?」
「わ、私ここなんです。
Fの24。
ここであってますよね?」
「あぁ」
・・・てことは俺女子に挟まれるってことか。
世の男子はすごくうらやましいことだろう。
俺はどうでもいいが。
「まぁ座れよ。いつまでも立ってないでさ」
「そ、そうですね」
失礼します。と礼儀正しく真理奈は俺の隣に座った。
それを見てから左を向くとすでに柚希は座って静かに目をつむっていた。
あれ、もしかしてこいつ・・・寝てる?
「おい、柚希」
「ん~・・・」
「飛行機楽しみにしてたんだろ?
もう少しで飛ぶぞ?」
肩を揺らして起こそうとしても、当の柚希は
「ん~・・・」
と軽い返事をするだけで一向に目を覚ます気配はなかった。
「空くん、寝かせておいてあげましょう。
たぶん早く起きて疲れてたんだと思います」
柚希の様子を見た真理奈は苦笑いをして言った。
「そっか・・・。
だからバスの中で寝とけばよかったのに・・・」
揺らすのを止め、真理奈と一緒に前を向く。
「大丈夫ですよ。
今を逃してもまだ帰りの飛行機がありますから」
「そうだな。
けど飛行機に乗るの正確的には俺たちは2回で、柚希は1回になるな」
「そうですね」
隣でスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている中、俺たちはクスクスと笑いあった。