俺たちは、

山を下り街に向かった。


街にあの祭りの時の

賑わいはなかった。


元気だった街を

思い出せなくなるほどに、

静かで悲しい街になっていた。


俺がうつむき、

黙り込んでいると

ユイが俺に声をかけてきた。



「たぶんカルさんはお城の地下牢にいる」


そうだ……


今はカルを助けることだけを考えないと。



「何所に地下牢があるのかわかるの?」



ユイは少し考え込んでから、

説明し始めた。


「一度だけ城中の地図を
見たことがあります。
でも、地下は詳しくは
載っていませんでした。」


「地下の大体のこととかわかる?」


「地下牢の手前のあたりまでなら………
そこから奥は人には知られては
ならないところですから。
それに、一度父と大臣たちとの話で聞いた、
極秘室周辺については
記載すらされていませんでした。」


この城には、

ユイですら知らないことが

たくあんあるのか……。


「俺は祭りのとき以外、
中に入ることすらなかったから全然わかんないし。」


「極秘室は本当に特定の人しか入れないので、
カルさんもそこにはいないと思いますが。」


「俺が生まれ育った国なのに、
知らないことって
たくさんあるもんだなぁ~」


「おそらくカルさんは、
地下牢の一番奥にいると思います。」