数時間としないうちに、

あの崖についた。


俺たちが追い詰められて

そして、

この国が悲しみに包まれた事件が起こった場所。



-国中が悲しみに包まれたままで、

悲しみからこの国が解放されるのは

かけらも見当がつかない-


新聞の記事に書いてあった。

もちろん、この事件のことも

俺たちのこともコウには話した。


それでもコウは、

俺たちを受け入れてくれて


「やりたいことはやりたい時にやるのが一番いいんだ!!」


そう言って、

落ち込む俺たちを励ましてくれた。



今、国王の前にユイを差し出し、

ユイはまだ生きている……

ということを伝えてあげたら国王はどれだけ喜ぶだろうか…?


死んだと思っていた自分の娘が

生きて帰ってくるんだ。


今の国王にとってこれ以上に

嬉しいことはないのだろう。


国中が喜びに包まれるだろう。


でもまだ、ユイを国王に帰してあげるわけにはいかない。


まだユイには経験してないこともたくさんあるし、


旅だってまだ始まったばかりだ。



すべてが終わって、

いつかこの国に戻ってきたとき………


その時に、国王のもとにユイを帰してあげよう………。


だから今は、

ごめんなさい………