「もうすぐ戻ってくるのではないですか?
行きたい場所があると言っていましたが……」


俺は主人にお礼を言うと

宿から出て行った。



ユイが行きたい所ってどこなんだろう……?


俺は全然想像つかなかった……。



よく考えてみれば

俺はユイのことを全然知らなかった……。



俺が知っているのは、

ユイは


どんなに大変でも、

どんなに辛くても、

絶対に弱音を吐いたりない……。



それくらいしか知らなかった………





ユイは何が好きだとか、


何が嫌いだとか、


何に興味があるとか、


何を思っているのかとか、


俺は全然知らなかった……。



だから、

ユイを探すすべが全くなかった……。



でも俺は

ただ立ち尽くしているなんて、

そんなことできなかったから


村中走り回ってユイを探した。



でも、

ユイは見つからなかった……。


ユイ……


どこに行っちゃったんだよ……?