「ユイさん………
目を覚まして………
ノイさんの心を開けるのはユイさん……
あなただけなんだから………」


ルクは朦朧とする意識の中、

必死になって魔法を続ける。



俺たちは山を駆け上がり、

『頂上茸』を採り続けていた。


『頂上茸』は見た目の良さから、

料理の飾りとするために使うものだ。


こんなものが、

今何に必要なのか?


そんな疑問を抱きながらも、

ユイを助けるために

1%でも可能性があるなら………


それに全力を尽くそう。



俺は必死に、

頂上茸を採り続けた。



空は少しづつ

明るくなり始め、

夜は終わりを迎えようとしていた。



鳥の鳴き声が

聞こえる時間になる頃には、

俺たちは全身筋肉痛で

痛む体を必死に動かしながら

山を下っていた。



そしてその頃、

ルクはユイの手を握ったまま

意識を失っていた。


そしてうわ言のように


「ユイさん………」


そう言っていた。