高橋先輩と言われると、嫌な思い出しか出てこない。

---これは私、悠宇翔が1年生の9月の時のこと

私の下駄箱に可愛い封筒が入っていた。

中を広げるとそこには綺麗な字でこう書かれていた。

【今日、部活終わったら多目的室に来て。話したいことがあるんだ。

高橋 譲】

私は高橋先輩の言った通りに部活終わりに多目的室へ向かった。

誰もいないはずなのに多目的室の鍵が空いていて、私は中に入った。

「早月さん、来てくれてありがとう。」

私の後ろから声がした。
高橋先輩の声だった。

「あの・・お話って何でしょうか?」

私が控えめに聞くと、先輩は優しく微笑みながら言った。

「俺と付き合ってくんない?恋人として」

「え!?」

私は驚き過ぎて声が出てこない。

「お願いだよ。俺と付き合ってくんない?」

高橋先輩はそう言った後、私にツカツカと歩み寄ってきた。
私は怖くなって後ずさりしたが、先輩はさらに距離を縮め近づいてくる。

後ずさりする私の足にコツンと何かが当たった。
それは壁だった。