悠宇翔side

あの怪我から約1ヶ月経った。

右足の捻挫は治ったものの、左足にはクルクルと白いテーピングが貼られている。

最近は歩くのもやっとで、松葉杖を使っている。

バスケ部をやめた私は、諸活動の時間にいつも稲葉先生と一緒に男子バスケ部の見学をしていた。

やっぱりバスケはやる方が楽しいけど、見ていても飽きない。

男子のバスケの方が勢いがあってヒートアップしてるし、見てて楽しいのと稲葉先生と一緒にいられるから男子バスケ部を見てるんだ。

稲葉先生が気を使って、男子バスケ部のマネージャーでもやるかと誘ってくれるけど、私はそれをさらりと流している。

私、マネージャーはやりたくないの。

だって男子バスケ部のマネージャーには、稲葉先生ファンの女の子が沢山いるから。

私が仲間はずれにされるのが目に見えてるから。


私がいつも通り見学していると、稲葉先生が駆け寄ってきた。

「いつも来てくれてありがとな、早月。
早月が来ると部員が張り切って練習してくれるから助かってるよ!!」

「張り切って練習してないですよ。いつも通りじゃないですか。」

「いつも通りじゃないよ。早月はあいつらの気持ちがわかってないな?
あいつらは好きな女の前では張り切るんだよ!!」

稲葉先生が爽やかな笑顔を振りまいて言った。

私はその笑顔を見て、軽く赤面した。
さらに先生の言葉にも驚いた。

「男子バスケ部員はほとんどが早月にベタ惚れしてるんだ。
知らなかったか?」

「えー、嘘ですよー!!そんなこと」