「・・・・・よかった。」

俺が小声で言った。
女たちはいつの間にかいなくなっていた。

悠宇翔には伝わらなくてもいいと思ったから。でも、悠宇翔は聞きたいらしく、

「も1回言って?」

と言う。

「よかった、お前が無事で。」

俺は照れ臭くなりながらも悠宇翔に言った。

「な、何言ってんの?
変なこと言わないでよね。」

悠宇翔はそう言った。

俺は変なこと言ったつもりじゃないけどな。

悠宇翔は階段の下の車椅子を拾おうと左足を引きずって階段を降りようとしたが、前につんのめって落ちそうになる。

俺は条件反射みたいに彼女の身体を抱きとめた。

「お前危ないんだから、気ィつけろよ!!」

「だっ大丈夫よっ!!
離してよ」

「お前落ちそうになるから断る。」

俺は彼女の身体をお姫様抱っこすると、階段を降りた。