俺には悠宇翔は向いてない。

俺にはアイツを傷つけることしかできないみたいだ。


本当は、4月の試合で悠宇翔が倒されたとき、俺が稲葉より先にアイツを助けようと動いたのに・・・

まあ稲葉の方が距離が近くて、先越されたが・・・。

そんなの悠宇翔は知らないだろうな・・




そう回想しているうちに1日が過ぎて行く。

諸活動の時間になっても俺はバスケ部に行く気力をなくしていた。

俺がふと階段の近くを通ったとき、騒がしい声が聞こえた。

「早月さんってさぁ・・・なんでそんな稲葉先生にコビ売るの?」

「私はそんなつもりじゃないから。」

悠宇翔のきっぱりした声が響く。

「どー考えたってさぁ、コビ売ってるようにしか見えないんだよねぇ」

「それはあなたの目が曇ってるからじゃない?
人の悪口を言うより、自分自身の改善をしたらどう?」

悠宇翔はしっかりとした声でそう言い放った。