稲葉先生は私を家に送り届けると、

「お大事に。」

と言って帰ってしまった。

左足を引きずりながら立とうとすると、兄の優璃斗(ユリト)に抱っこされて私の部屋に連れていかれた。

結局、私はバスケ部を退部することになり、4月が儚く過ぎて行った。


































桜が散り、季節は五月へと移り変わる。