私は起き上がって試合を続けようとするが、足に力が入らない。

上半身だけは腕の力で持ち上げられたのに足がどうしても動かないのだ。

動けない私の異変を感じ取ったのか、稲葉先生が駆け寄ってきた。

「早月!!大丈夫か?
おい、大丈夫か?」

「あ、足が・・・動かなくて・・」

私は状態を上手く説明できない。

「とりあえず病院に行こう!!」

「でも、試合が・・・」

「早月の身体の方が先だ!!
早くいくぞ!!」

稲葉先生は私をお姫様抱っこすると、近くの女子バスケ部部員にこう言った。

「早月の代わりをコートに入れろ。
それから試合を続けること。」

私はそのまま稲葉先生の車に乗せられ、近くの病院に向かった。


私は病院内を移動する際は全て稲葉先生の腕でお姫様抱っこされていた。

「あの・・稲葉先生・・・」

「なんだ?早月?」

「私、重いですよね・・・すいません」

「お前は本当に飯食ってんのか?
背が高いのにこんな軽いんじゃあ、ダイエットでもしてんのか?」

「へぇ!?」