「でも、なんでわざわざ真紘さんに言うんですか?」
黒崎が部屋から去った後、総司がそう尋ねた。
「何も言わずに行ったら、あいつ何か言いそうだからな」
「そうですか?」
なにか、絶対、言いそうだ。
なぜ斬るのか?とか聞きそうだ。
さっきも、なぜ斬る?とか、
聞くかと思っていたが、なんか素直に聞き入れていたような。
まぁいい。その方が俺たちは仕事に入りやすい。
「まぁ総司。とりあえず、今日の夜どうするか話そう」
近藤がそう言い
「そうだな。この中で誰かが先に新見の後をつければいいだろう。
そして、どっかの部屋に入ったのを確認したら、合図して切腹を命じに入ればいい」
と策を言った。
「そうですね。誰が先に行きます?」
総司が訊いた。
「・・・そうだな。まぁ総司か俺だろ」
「ですよね・・・」
「よし、総司にしよう」
「え?」
「総司はこん中じゃ若いし・・・」
「そんな。・・・」
俺がそう言うと、困ったように総司が言った。
「あぁ、俺も総司がいい。総司は新見にばれずに料亭に入れそうだ」
「近藤さんまで・・」
さらに困る総司。