今、考えてみたら、あの出来事は全ての始まりにすぎなかったのかもしれない。


君はいつも通り、おもしろくもない、眠気しか感じない古典を一生懸命に聞いていた。

その様子を見て、クラスの男子はまた君をからかった。

「創也!お前また真面目に授業なんか聞いてをのかよー」

「今日はたまたま眠くないだけだよ」

君は優しい、お日様みたいな笑顔でそう答えた。

ー嘘つき。

あたしは心の中で小さく呟いた。
毎日一生懸命に授業、聞いてるくせに。


人一倍、真面目な君はいつだって何かに手を抜くことなかった。

そんな君を直視できないあたしは、今日も君を視線の端に置いた。