そんなことを考えていたら、二十日くらいがたった。

 今度こそ、ほんとうに飽きちゃったのかな。

 飼い主さんが大人しいぼくを気遣って頭を撫でてくれてたとき、玄関がピンポンてなった。

 誰か尋ねてきた。

 誰だろう、知らない男の人だ。

「えっ? そちらのハムスターがうちに?」

「はい」

 いまハムスターって言った、じーちゃんのことかな。

 ぼくがドアの影から覗いてたら、飼い主さんがその人を家に上げた。

「いつもあいつがキャットフードとか持っていたんで気になっていたんです」

「それでペットショップを片っ端から? 凄いですね」

「脱走していたのはその家に行くためなんじゃないかと思って」

 男の人は少し哀しそうに笑ってコーヒーを飲んだ。