六日くらいしたころ、ぼくのえさ箱から小さい音がした。

「じーちゃん!」

 ぼくは思わず駆けだした。

「なんじゃ!? びっくりしたではないか」

「だって、ずっと来なかったから」

「仕方なかろう。脱走がばれて抜け出さないようにとケージの入り口に洗濯ばさみを挟まれては──ハッ!?」

「え?」

「なんでもないわい。今日は缶詰か、リッチじゃな」

「ぼくがずっと落ち込んでたから、飼い主さんがいつもはご褒美にくれるものをくれたんだ」

 かつおの薫りがするツナをじーちゃんは美味しそうに頬ばった。