憧れ~大切な君へ~

『な~恵梨!』
『何~?』
『兄ちゃん元気かな…?』
『龍が元気なら涼ちゃんも元気だと思うよ!』
『そっか…』
『うん。あ、龍!見て!』
恵梨は急に大声を出した。
『何?』
俺が聞くと恵梨は空を指して
『あそこ!』と言った。
恵梨が指す方を見ると綺麗な虹が架かっていた。
『綺麗…涼ちゃんからの贈り物だね!』
そう言った恵梨の笑顔は輝いていた。

兄ちゃん…
俺は恵梨が好きだ…
どうすればいいかな…
俺が考えていると同じクラスの
門川 結芽(カドカワ ユメ)が恵梨に声をかけた。
『恵梨香、頑張ってね!』
『うん…』
『大丈夫だよ!』
『結芽、私自信ないよ…』
『大丈夫だから頑張れ!
じゃあ、また明日ね!』
『うん、バイバイ…』
少しすると門川は走って帰っていった。
『あいつ元気だな…』
俺が呟くと恵梨が
『もしかして龍って結芽の事好きなの?』と聞いてきた。



どうやったらそうなるんだよ…
『そんな訳ないだろ!
で、何を頑張んの?』
俺が聞くと恵梨は
『それは…』と言ったっきり黙った。
『もしかして誰かに告白すんの?』
俺が聞くと恵梨の顔は赤くなった。
『そう言う事か!頑張れよ!』
おれは思ってもない事を言った。
それっきり恵梨は黙ったままだった。
恵梨の家の前まで来て
『じゃあな!』と言って帰ろうとすると『待って!』と呼び止められた。
『何?』
俺が聞くと恵梨は何も喋らず黙っていた。
『あ、もしかして応援してほしい?
悪いけど俺は応援なんかしねぇよ!』
そう言って帰ろうとすると恵梨が
『あの…あのね…私、ずっとずっと龍が好きなの!龍が私の事どう思ってるか知らないけど…私はずっとずっと龍の事が大好きだから!』
と言った。
俺は恵梨の言っている事が理解出来なかった。
『今、何て言った?』
俺が聞くと恵梨は
『龍の事が大好き!』と言った。
『それ本当?』
『嘘付くわけないでしょ!』
『恵梨、俺も恵梨が好きだ!』
俺も勢いで告白した。
『嘘…』
恵梨は信じられないというような顔をしていた。
『嘘じゃねぇよ!』
『龍!ありがとう!』


兄ちゃん


元気ですか?


俺は元気です!


兄ちゃんが旅立って14年経ちます。


俺は大学を卒業してすぐに


恵梨と結婚しました。



そして今年2人目の子供が産まれました。


1人目の子供は男の子で


涼平(リョウヘイ)といいます。


今年1歳になりました。


そして2人目は女の子で


涼子(リョウコ)といいます。


最近よく笑います。


2人に兄ちゃんの名前を入れたのは


兄ちゃんの様に優しく真っ直ぐに育ちます様に!と言う願いからです。


兄ちゃんは俺の憧れで


大切な人だった…


そして俺にとって


掛け替えのない存在だった…


兄ちゃん、今ドコで何をしていますか?


空で元気にしてますか?


俺らを見守ってくれていますか?


俺は恵梨と2人の子供と幸せに暮らしていきます。


兄ちゃんも幸せになって下さい。


憧れ~大切な君へ~   【完】

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