「はぁー…」
受話器を置くなり、溜息が零れる。
はっきり言って、まだ企画書は半分ほどしか出来て上がってはいなかった。
今から応援を呼ぶのも、結構キツい。
1人で仕上げるとなると、今日は残業。明日も明後日も残業…ってことか。
考えるだけでも、重たい瞼が下がる。
「あら、物凄い溜息ね。私が出た方が良かった?」
「うるせーよ」
隣の女は、カチャカチャとパソコンのキーを打ちながら、平然と話掛けてくる。
ああ、ホントに。
どうして俺はいつもこうなんだろう。
ダサいことばかりが浮き彫りになって、いつも格好がつかない。
"オフィスの星"…になりたい訳ではないが、"オフィスのお荷物" だけはごめんだ、と思う。
「応援なんて、どうやって呼ぶ気?この、忙しい時期に」
「んなこと分かってるよ。自分で…なんとか間に合わせる」
「あら、そ。たぶん無理だと思うけど」