「何、まさか一人暮らし?」


「なわけないじゃん」


「なーんだ、遊びに行こうと思ったのに」


「いつでも来ていいよー、どうせ殆ど家で一人だしー」


「まじで?」


「うん。あ、でも久しぶりにユタの家にも遊びに行きたいなー。アンタの家、怖いけど面白いんだよねー」


クスクスと含み笑いをしながらお酒を選ぶ。





「いつでも来い」



やけに声が近いなと思い、視線を隣へと向けるとユタが私の後ろから隣へと移動してきたらしく、妖艶に微笑みながら私を見ていた。


思っていたよりも至近距離で、私は思わず一歩ユタから遠ざかってしまった。




「う、うん」


何コイツ、何なのコイツ。


なんかよく分かんないけどフェロモン垂れ流しなんですけど!!



顔の造りは小学校の時とあまり変わらないにしろ、雰囲気はもちろん、声だって低くなったし、なんていうか……こう、かっこよくなったというか。




うん、かっこよくなった。



記憶が小学校の時で止まってしまっているから、余計にそう思うのかもしれない。





「つーか、お前酒呑めんの?」


私の手元にあるお酒を覗き込みながら訝しげに目を細めるユタ。


そんなユタを横目で見ながら私はハイボールとかかれた缶を一つ手にとって、ガラス張りの扉を閉めた。



「呑めますー。一本が限界だけど」


「それあんまり呑めてねーじゃん。酒弱ぇのか」


「うん。でも酔えば眠くなるし、これにする!」


「未成年の飲酒は悪いことだぞ?お前分かってんのか?」


「ユタだってさっきそこのヤンキー達と酒がどうのこうのって話してたじゃん!」



そう大声を出して外のヤンキー達の方を見れば、窓から私達を観察するように見ていた。



私と目が合って、やべぇ!と叫んでそうな顔でさっきの場所に戻っていったけど。




……やっぱり、ユタと私のセットは気になるよね~。



どう考えたってユタはヤンキーで私は素朴な黒髪の女の子で。


一緒に楽しく話していそうなセットではないことは確かだ。



まぁ、後でユタが幼馴染みとか何とか言って説明してくれるだろう。



私はハイボールを持って、ついでにおつまみも持って、レジに向かった。