それだけは絶対やめてほしい!
私はただの女の子です!
ユタとは確かに幼馴染みだけど!
ヤンキーの仲間になるつもりは毛頭ないんだから!
「なぁ、ニーナ。何でこっち戻ってきたんだ?」
店員の視線に震えながらもお菓子コーナーに寄った私にそんな声が掛けられた。
どうやらユタも店内に入ってきたらしく私の後ろについてきてたみたいだ。
その表情は、先程ヤンキー達と話していた顔とは違って少し緩みがある。
こんな厳つい顔になっても、ユタはユタらしい。
昔みたいに話し掛けてくれたことが嬉しくて私も自然と笑顔になる。
「なぁにー?戻ってきたら嫌だったぁ?」
「んなわけねーじゃん?俺はニーナにずっと会いたかった」
「はいはい、ありがと。お父さんの転勤で戻ってきたの。ようやく戻ってきたって感じかなー」
「ニーナも俺に会いたかった?」
「うん、もちろん!」
そう言って振り向くと、ユタが驚いたように固まっていた。
「ユタにもミカにも沙織にも、翔太とか麗子とか、皆元気してる?」
「え…あー知らね」
目を逸らして急に笑顔をなくしたその顔に、今度は私が固まる。
もしかして、連絡とってないのかな?
まぁ、小学校のクラスメートと今も連絡とってるわけないか。
それに、あのユタだし。
保育園の時も、小学校の時も、私以外とは打ち解けられていなかったユタ。
そのせいと言うべきか、そのおかげと言うべきか、ユタは私とばかり一緒に帰ったりしていて。
はあー、懐かしい。
「あのねっ、私この近くのマンションに住んでるんだー。それでさっきようやく荷ほどき終わって、お酒でも呑もうと思ってきたの!」
フォローしようとして、慌てて取り繕う。
何となくユタの方を見ることが出来なくて、そのままお酒コーナーに向かうと、また後ろからユタがついてくるのが分かった。