お父さんの転勤に合わせて一緒に引っ越す事ばかりで、今までにもう5回は引っ越しを経験している。

小さい頃は我儘を言って困らせてしまったけど、今はその事情もちゃんと理解している。

だから

「ううん、お父さんもお仕事なんだし仕方ないよ」

そう言って頷いて見せる。

折角仲良くなった友達と別れるのは凄く寂しいけど・・・。

「そう言ってもらえると助かるわ。でも、今回の転勤で多分最後になるって言ってたわ」

「え、ホント?それじゃあずっとあの街にいられるの?」

お母さんの言葉に嬉しそうにする唯。

逆に私は何とも言えない気分になってしまう。

8年前に住んでいた街に戻れる。

本当は喜ぶ事なのかもしれないけど・・・。