「麻羽ちゃんやん、また小塚? 呼んだろかっ」

麻羽という少女がテニスコートに来ると、背の高い男子生徒に話しかけられる。
「あ、山木先輩 いえ、忙しいならいいんです」

山木は大丈夫大丈夫、と言い小塚を呼ぶ。

しかもフェンス越しに。

少したってから、一人青年が、麻羽と山木の所へ来た。

すると山木はニヤッと笑みを浮かべ麻羽を引き寄せる。相手に見せ付けるような感じで。

「…もう少しはよぉ来んと、小塚の愛しの麻は―痛テッ!!」

「…誰のって? もう一回ゆうてみ」
黒いオーラがその声の主を包む。

「すんませんねー小塚君」
完璧の棒読みをした山木。冗談やって、と言い直しながら相手のオーラを気にする。

「あ、そうだ小塚君」

麻羽が何か思い出したかのように話しかける。
だが、彼は麻羽にストップをかけた。

「ちょいまち…なぁ、山木…さっきから俺らの後ろで盗み聞きしてる奴ら誰?」

すると、後ろの草むらがガサッと反応する。