そのままテーブルに足を乗せて、一に掴みかかろうとする愛子を海が引き止める。


「ま、落ち着いて愛ちゃん。ほら……ブロックの件もあるし、ね」


海はコソッと耳打ちする。

確かに、それを言われたら弱い。海を助けるためとはいえ、愛子は一を殺そうとしたのだ。

いや、あくまで襲い掛かる『肉食柴犬』を、であるが。


「でも、スッゲーよな海って! 俺、初めて見たよヒーローなんて! 本当に変身するヒーローっているんだな」


どうやらソレが言いたかったらしく、一は興奮気味に喋っている。


「いや、本物のヒーローと決まった訳じゃないし……。それにあんまりカッコよくないしね。必殺技もないし、武器も持ってないし」


頭を掻きながら恥ずかしそうに言う海に、一は後頭部に蹴りを入れるようなことをポロッと言ってくれた。


「スッゲーよ! だって真っ裸でさ、開脚回し蹴りなんて普通できねぇって!」

「あっ、それは……」


愛子と佐々木警部が止めようとしたときには遅かった。


「え? 変身解除したら裸になるんだよね? 緑になってるときは……見えてないよね?」


海は同意を求めるように、愛子たちを見るが……愛子も警部も微妙に逸らす。