「さっきも、少し言ったけど…俺の兄貴の元カノなんだ」

「……」

「あの女、最終的に金を取っていったんだ」

「…え」


嘘…。

じゃあ…もしかしたら悠さんも…?


「兄貴は、騙されたんだよ。あの女に」

「そんな…っ」

「あの女、俺の母親に挨拶しに家に来たんだ。その時は、好印象だった。
今みたいに、けばけばしいメイクしてないし、挨拶もしっかり出来てて…」

「……うん」

「だから、俺も最初はいい人だと思ってた。だけど…」

「だけど…?」

「家に来るのが、三回目くらいのとき…突然母親が叫んだんだ」

「…え…」

「"財布がない!"ってな」


うわ…。

綾斗のお母さんのお金を…?

最低だ、そんなの。