屋上に上がる為の階段脇の清掃用具入れの鍵を開ける。



 この鍵は僕が付け替えた僕しか持たない宝箱の鍵。



 その宝箱には僕の私物が沢山入ってる。



 中からベースを取り出し小さなアンプと大きめのヘッドホンを出す。



 電源は珍しく屋上にあるコンセントから拝借。



 制服を汚さない様にシートを引いた上に座り込み、コードを練習する。



 個人的な楽しみだから曲なんて弾かなくていい。



 ただコードを弾く。



 それだけ。



 理解されなくていい。



 これが僕の世界。



 これが僕の世界観。



 僕の価値観を理解出来る人が居るわけない。



 と言うか理解しようともしないだろ?



 こんな僕みたいなヤツを理解しようとなんて。










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