平助side



嫌いだったあいつをいつの間にか俺は目で追っていた

外のお膳を片付ける背中はどこか寂しくて

左之さんに見せた初めての心から笑った笑顔に

嬉しいはずなのに素直に喜べない俺がいる

「はぁ~…
俺、なんなんだろ…」

俺の呟きは儚くも夜空に散っていく

嫌いで、

嫌いで、

あいつを認めたくなくて

でもどっかで認めたくて…

ホント、俺ってなんなんだろ、

「藤堂 さん?」

その間はあえて無視しといてやる

「何だ?舞」

モヤモヤしていた気持ちが舞に話しかけられただけで晴れる

「こんなとこにいると風邪ひくょ」

俺の心配をしてくれている…

そぅ思うだけでなんか心がポカポカする

いったいなんだ?

「まぁ、馬鹿は風邪引かないって言うけどね」

「舞っ!!」

嫌味を言われているのに嬉しがっている俺がいる

俺にかまってくれる

そんなことで嬉しくなる気持ちを知るのは後もぅ少し先の話



平助side*end