「全部…私がバカだった」
気が付くとまた涙がこぼれる。
夕日ももうほとんど沈んでいて、夜の綺麗だけど寂しい空が空を占領し始めていた。
涙を拭いて、後ろを振り返る───
「…うん、ほんと川原さんってバカだね」
「───えっ」
紫のような、青のような、綺麗な色のトレーナーが頭から掛けられた。
香水?いや、洗剤なのかもしれない。
初めて嗅いだ橋本くんの匂いにドキッとした。
「体、震えてるよ?寒いのによくこんなに外に居れるね」
「橋本くん…」
「それ、明日返してくれれば良いから風邪引くなよ」
「え、待ってよ」
「もう校舎施錠されちゃうから…帰るぞ」
こちらは振り向かないけど手が私に向かって差し出される。
「うん!」