「川原さん?」
急に数メートル後ろから掛かった声に驚く。
「…っ……、橋本くん、びっくりした」
彼は頭が良くて運動もできる、それどころか整った顔立ちもしている。
だけど、人を寄せ付けないオーラを放っていて、無口で謎に包まれているクラスメートなのだ。
「こんなところで何してんの?」
こちらへ近付きながら話し掛けてくる。
初めて、向こうから話し掛けてくれたかも。
ちょっと嬉しい。
「夕日…、眺めてただけ」
「ふーん、夕日、か」
橋本くんは私の横に並ぶと、フェンスに手を掛けて私と同じように夕日を眺める。
「夕日ってさぁ、また明日も見れるのに寂しい気持ちになるよな」
ぼそり、橋本くんは呟く。
「え?」
「眺めながら、今日もこれで終わるのかー、なんて振り返ってみたりしてさ」
「…っ…、」
ハッキリ言ってびっくりした。
思わず橋本くんの顔をジーっと見つめてしまうほど。