「それって…!」 私はハッとしてリンを見上げる。 リンは私の考えを察したように、小さく頷いた。 「黒凪にいれば、清来と接触する機会はいくらでもあるってことだ。」 唯一、安全な渡り舟。 姿を隠し黒凪にいれば、 清来に近づける…! 「絶好のチャンスを辛抱強く待て。 そしてそれを見計らって、うまく兄を救い出すんだ。」 「うんっ」 私は力強く頷いた。