「それだけじゃないの!?」
あたしはリュックを指さした。
男子って荷物そんなないんじゃないの?
あたしがそう言うと
「な、訳ないじゃないですか。大丈夫です。そんな無いですから♪」
そう言った。
あっ、待てよ?
「押入れ空いてるよ。そこならいいよ♪」
一畳半の大きさだけどね♪
「あっ、だったら俺、そこの部屋でいいですか?良かったぁ」
そう言った。
はい?
そこでいいの!?
「押入れだよ!?」
あたしがそう言うと
「部屋がないよりマシです」
そう言った。
まぁ、それもそうよね。
「あのさぁ、冬弥君、料理できる?」
あたしがそう言うと冬弥君は頭に手を置いて、
「全くできないんですよね」
そう言って笑った。
「そっかぁ」
じゃぁ、自動的にあたしが料理作るのよね。
自信ないなぁ。
なんて思っていたら
「俺、洗濯とかなら得意です!」
そう言って笑った。
笑顔ホント可愛いなぁ。
モデルしているだけあるわ。
「分かった。じゃぁ、あたし料理担当で洗濯物担当よろしくねっ!」
あたしがそう言うと
「分かりました~!じゃぁ、これからお世話になります。それと家賃とかすべて半分ずつでお願いします。俺、意外とお金には困ってないんで」
そう言って笑った。
「分かったよ。じゃぁ、すべて半分で。今日からよろしくね、冬弥君」
こうしてあたしたちの同居生活がスタートしたのでした。
ーside夢七ー
「だーかーらー!ここはこっちの、政策の方がいいって、さっきから言ってるじゃないですか!!」
あたしは資料を机に叩きつけて部長に言ってやった。
こっちの対策じゃぁ利益取れないし、赤字になっちゃう気がするんだよね!
部長は困ったように
「俺に言われても、上の命令だからなぁ」
そう言って頭をポリポリかいた。
これだからこの会社は上にの仕上がれないよ!!
「じゃぁ、あたしが話に行きます」
そう言ったが
「待ってくれよ、大石さん」
そう部長に言われてしまった。
「これじゃぁ、絶対ダメです」
あたしがそういうけど、この会社はあたしの事を全然聞いてくれない。
確かにあたしはただの会社員。
社長に会える資格なんて一切ないし、権限だって何もない。
けど、このままではもっと赤字になる一方だ。
何かを変えていかなければ何も変わらないというのに、この会社は何をやっているのだろう。
「部長今度の会議に私も出席させてもらえないでしょうか?」
あたしがそう言うと
「分かった。頼んでみる。さぁ、仕事しろ」
そう言われてしまった。
あたしは自分の席へ付き、パソコンを開いたとき、隣の同僚があたし近づいた。
「毎日、毎日よく喧嘩するわよね、貴方たち」
長い髪を揺らしながら彼女は耳元で囁いた。
この人は田中愛瑠(タナカアイル)。
会社で一番仲良くしてくださっている一個上の先輩だ。
「あれは部長がいけないんですよ。私が意見した事を会議でいってくだされなかったら」
あたしはそう言ってため息をついた。
「あんたほんとに気が強いわよね。あんたが嫌いな上司多いわよ~?まぁ、あたしは好きだけどね、そういうタイプ」
そう言ってパソコンに向き直った。
その時、
パコっ
頭に少しだけ何かが当たった。
あたしは上を見上げた。
「東城(トウジョウ)さん」
あたしがそう言うと、ふっと笑ってから
「会議頑張れよ」
そう言って行ってしまった。
うぅ。
これは頑張らないと!
東城さんはあたしの好きな人。
優しくて、ダンディーでとにかくタイプなのよねぇ。
年はあたしより5歳年上で、結婚はしていない。
そしてあたしの片思い。
今日もかっこいいなぁ////
見とれていたら
「こら!見とれてないで、仕事する」
愛瑠さんに怒られてしまった。
「は、はいっ!」
あたしも仕事に集中しないとっ!
こうしてランチタイムまであたしは仕事を一生懸命こなした。
そしてランチの時間。
「夢七?あたし食堂行くけど、今日はお弁当?」
愛瑠先輩が言った。
あたしはバッグからお弁当を取り出して愛瑠さんに見せた。
「今日もお弁当です」
あたしがそう言うと
「あんたホント凄いわよねー。じゃぁ、あたしは食堂行ってこよ♪」
そう言って愛瑠さんはオフィスから出て行ってしまった。
あたしは辺りを見渡したけど、弁当持ちなんて結婚している人がほとんどだ。