1年B組、教室。

「クラス会議なんて、なんか珍しいねー。岡崎先生なのに」
「絶対深刻な感じじゃん…」
「誰かなんかやったんじゃない?」
「あー…万引きとか?」

「結芽、バイト見つかったんじゃない?」

森里 結芽は、膝を立てて椅子に座り、口を尖らせる。

「えー…でもそれだったら個人指導だよね?それに…」
「なに?」
「…なんでもないっ」

森里 結芽は、大きなため息をついた。

担任のいなくなったクラスには、生徒の不安だけが残っていた。
特に森里 結芽は、内緒でやっているバイトのことがバレたのではないかとヒヤヒヤしている。
この学校ではバイトは禁止されていて、見つかると推薦取り消し、停学処分か退学処分だ。

結芽にとって、それはとても困ることだった。
密かに思いを寄せている担任、岡崎に会えなくなってしまうからだ。