「行こうか」

愛琉の手をさりげなく握り、紅太は歩きだした。

「紅太…何それ?」

怒りを含んだ翼の声に、慌てて愛琉は荷物を引ったくった。

「愛琉ちゃんを助けてた。お前持たせ過ぎ」

そう言って、紅太は愛琉から引ったくり返して荷物を他の人に渡した。

そして、愛琉の肩を抱き歩きだした。

「オレら抜けるから。じゃぁね」

「紅太!」

翼が止めるのも聞かず、困惑している愛琉を連れて離れていった。