「すいませーん、ドンペリ20本入りまぁすっ」


「珠理奈さん、二番テーブルに常連様がいらしてます」


「わかったわ」


ボーイから耳打ちされてから、客に顔に戻す


「ごめんねぇ、珠理奈ぁ、他のお客さんのところ行かなきゃ」

「ええ?これからが楽しいのにぃ」

「ホントにごめんねっ、でも珠理奈、なるべく早く帰って来るから、ちゃんと待っててね?」

「うんっ、待ってるよ」


バイバ〜イと手を振り、二番テーブルにつく


「ちょっと、あんた来るの遅いじゃないっ、どこ行ってたのよ」

「ご、ごめん。家族で旅行に行ってて…」

「ふうん、あたしより、そっちの方が大事ってわけ、ずっと待ってたのに…。」

「ホントっ、ごめん。でもっ、珠理奈ちゃんのこと忘れたことなんて、片時も無かったよっ」

「ホント?」


体をくねらせて、上目遣いで聞く珠理奈


「本当さっ!」

「言葉だけじゃ、わかんないもん」

「お酒っ、いつもの倍頼むからっ、ねっ?機嫌直してよ」

「もう、わかったぁ、すいませーん、ドンペリ60本!」


またまたボーイが耳打ちしてくる


「隼人様がお見えです」

「またあいつかぁ、いないって言って」

「いや、しかしっ」


「ひどいなぁ、珠理奈ちゃん、俺のこと避けまくってさあ」