一方前のタクシーでは、珠理奈が顔を赤らめていた
うわっ、どんだけ良い声出すの…マジ鼻血出しそう
女子らしからぬところで興奮していた…。
珠理奈の携帯がポケットの中で震える
今良いところなのにぃ
渋々ゲームを中断し、携帯を取る
隣の春樹は窓の方に寄っ掛かって寝ていた
寝顔もキレイで少々イラッときた
そして携帯のディスプレイに写る人物の名前に顔をしかめた
「もしもし」
『俺だ。』
「何の用だ、くそ親父」
『おいおい、娘が父親に言うセリフじゃねぇな、それは。』
「てめえと喋ってる暇なんてねぇんだ、用件を言え」
『またギャンブルで負けちまってよ、金が必要なんだ。』
「てめえの尻はてめえで拭きな、てめえにやる金なんざ、一銭もねぇよ」
一方的に電話を切る
胸くそわりぃ
またか…。