衣装部屋には頭から爪先までの完璧なコーディネートが揃っているものしかない
芸能人はいつ写真に載るかわからないので、翼が外出用に全てコーディネートしてくれたのだ

まあオフ会の時は本当の私服で行くけど
何故か俺だとバレない


しかも定期的に買い揃えられるので流行に乗り遅れることもない

翼には感謝してもしきれないし、逆にあんたは俺の母ちゃんかっ!と言いたいほどに過保護である



「ごめんっ、」


玄関を出たら、いつもの仏頂面が待っていた
大きな瞳は俺を一瞥するとスタスタ歩き出す


「予定より2分32秒の遅れがあります。少し急ぎますよ」


「あ、はい…。」


別に2分くらいどうってことないじゃん、と思ったそこのあなたっ!!

翼にそれを言ってみなさい。百倍になって返ってきますよっ!!しかも全て正論なのでこちらはぐうの音もでません