「心配してるの?」


ぎくっとした顔になり、さらに紅潮していく翔太


「ったりめぇだろ、男はみんな狼なんだぞ、ちょっとはコスプレも考えて着ろよなっ」


するとお得意の微笑とは違う、嬉しそうに微笑む萌花

「目の前の狼になら、私食べられても良いですわよ」

「はっ!?ば、バカかっ!!お前はっ!?そういうこと言ってると、勘違いするだろ、冗談やめろよな」


冗談じゃなかったら?
そんなセリフを言う勇気は今の私にはない

でも、相手の心が少しずつでもこちらに傾いてくれたら…それだけで嬉しい


「私、日本公演のリハーサルがあるんですの。珠理奈ちゃんの看病は翔ちゃんにお任せいたしますわ」


「お、俺かよっ!!」


「だって春樹くんはお忙しいですし」


「まるで俺が暇みたいに言うなよなっ、この何日か休みもらうのに、どんだけ頑張ったと思ってんだ」


またプンプンと怒り出す翔太にクスクスと笑う萌花


「それじゃ、着替えて参りますわ、覗かないでね?」
「誰が覗くかっ!!」


翔ちゃんはいつもプンプンしている
カルシウム足りてないのかしら


「公演…」


更衣室に使わせてもらった部屋を開けると、リビングから微かに声がした


「…ぜってぇ見に行くから、頑張れよ」


その不意討ちは…ずるい


「ありがとう」


やっぱり私は…翔ちゃんが好きだ