「大事にしてるんですね、萌花さんのこと」
「あ、ああ、そうだな」
今、何、考えてんだ、私は…。
能登春樹が…萌花さんって呼ぶだけで…なんか辛い
私は…まだ役の中でしか珠理奈って、呼ばれてないのに…。
何これ、やだ、何でこんなにもやもやするの?
あれ?
なんか、部屋に二人っきりになってるし
ど、どうすれば?
「さて、お粥食べないと、治る物も治りませんよ」
「…。」
「神?どうかされました?」
はっとして顔を上げる
そこには心配そうに私を見る能登春樹がいて、心配してくれることに安心してる私がいる
「大丈夫ですか?病院行きます?」
「いやっ、大丈夫だ、お粥、食べるよ」
「いえ、俺が食べさせてあげます」
「はっ!?」
「元はといえば、俺が傘を借りたのが悪いんですから、これくらいはしないと」
「いやいやいやっ!大丈夫だからっ!気にするなっ!」
まともに顔が見れない!
「そんなこと言ったって気にしますよ、俺に償いの余地は無いんですか?」