とりあえずベッドに寝かされた珠理奈


隣の丸椅子には白衣姿の春樹がいる
これが意外と似合うのである


茶髪の髪はサラサラで、澄んだ瞳は縁なしメガネの奥に潜んでいる

普通のワイシャツにズボンだが、その上にどっから持ってきたかわからない白衣を着ていた


だが、カッコいいから何でも許されるのでしょうな


「まず、お名前は?」


長い脚を組んでいて、膝の上でカルテっぽいのを書いている。


「それ、書くことあるのか?ていうかお医者さんごっこにしては本格的すぎだろ」


「質問に答えて下さい」


そこには、キャリア8年くらいありそうな医者の顔と声があった


役者ってすごいな、と感じた瞬間である


「安藤…」

「下の名前は?」

「…珠理奈」

「珠理奈さん、いい名前ですね」


ニコッと爽やかに笑う姿はきゅんと来るものがあるのだろう

私は騙されないぞっ!
あくまで役だからっ!


「失礼ですが、年齢は?」

「今年で17」

「ご両親は?」

「…あのさ、これってなんか診察と関係あるのか?」
「無いです」

「…はっ?」

「すみません、俺が知りたいだけです。だって、同い年で俺が俳優だって知ってて、しかも筋金入りのオタクだって知ってる人っていないですし」

「まあ、確かに」

「もっと…知りたいんです。…ダメ…ですか?」


何だ、この状況!!
まるで、マンガのラブストーリーみたいではないかっ!
立場逆転のっ!