「はっ!?」


思わずひっくり返った声を出す春樹


「おい、何言ってんだ?」


さすがに隣の男性も女性の発言に動揺しているらしい

「だって、そうでもなければ眠っているレディーの手を握ったりするのかしら?それとも、そういう趣味がおありで?」


「そんなっ、変態みたいな趣味はないっ!!たっ、ただ、神が泣いているのを見ていられなくて…眠っているとは知っていてても勇気づけてあげたくて…。」


「今…神っておっしゃいました?」


女性の言葉にはっとする。

やばい…やばい…超やばい!!
能登春樹がオタクってことは秘密なのにっ!!


社長に怒られる…。
いや、その前に翼から鬼のように何時間も説教を頂戴することになるのか…。

怖い…。



「ああ、なるほど、」


女性は厳しかった表情から一変。
ふわりと見とれるほどに美しい笑顔を浮かべた。


「大丈夫ですわよ、私たち秘密は守りますわ。」


「っ!!」


「おい、どういうことだ?」

「つまり、春樹様はスプリン様だったってわけですわよ。神に会いたいって熱烈アタックした、あの、スプリン様」


女性はニコリと微笑む。
その言葉だけで顔が熱くなる。
色々と見破られた


俺の正体も…俺がまだ自覚したくないこの感情も…。

あの笑顔は全てを見透かした、大人の余裕の微笑だったのだ。


一方、全く状況を理解出来ていない男性は微妙な顔でこちらを見ている。