艶やかな黒髪、背中まである髪はさらさらと指を滑らせていけそうなほどだ。
長い睫毛、小さな鼻に、少し下唇が厚い桃色の唇。
肌は透けるように白く、手足が長い。
ソファーの前のテーブルでは、ティーセットが用意されていた。
3つあるということは、あと2人誰かいたのか。
それにしても、なんと可愛らしい寝顔。
朝日を浴びて、まるで天使が羽を休めているかのようだ。
ホステス。
ふいに、現れたその言葉は俺の脳内を停止させる。
他の男に媚びを売ったりするのかな?
体を触られたり、嫌な思いをしていないかな?
「…お母さん。」
「…っ。」
寝言と共に、すうーっと、彼女の頬を涙が伝う。
悲しい夢でも見ているの?
「俺がそばにいますよ。」
彼女の手を握る。
華奢で小さくて、少しだけ冷たい手。
彼女が、少し、微笑んだ気がした。
まるで、俺がいることで、安心したかのように。