「彼女の職業は…」
「そんなの翼から聞きたくないっ!!」
「…春樹?」
「人のこと、勝手に調べるなんて最低だよっ!それに、俺は神を尊敬してる。神のことは、神が話したい時に、神の口から、真実を聞けば良い。」
車が赤信号で止まる。
「はあああああ。」
翼が深ぁぁいため息をついた。
車内の温度が3度くらい下がった気がした。
ますますパイナップルミントが俺の鼻腔を支配していく。
ギロッとした目がこちらを振り向く。
「何、砂糖と練乳とガムシロップを混ぜたような甘いこと言ってんですか」
「うっ…それは…甘いね…」
「だいたい、春樹は昔から人を見る目が無さすぎなんです。特に、女性を見る目は最悪ですし」
「そ、そんなことないよっ!…多分。」
「彼女…安藤珠理奈さんは…ホステスです。」
「…。」
「春樹、あなたは彼女と一緒にいるべきではない。今、彼女はNo.1ホステスとして夜の街に君臨しています。方や、春樹は今や誰もが知っている売れっ子俳優。イメージが悪くなります。
今後一切、彼女との接触は控えてください。」
信号が青に変わった。
車は進む。
ラジオ局に向かって。
仕事が待っている。
ホステス。
神…さっきまで俺といた貴女は…本当の貴女だった。
俺は…信じていいんですよね…?