ワイワイとじゅりなたちが盛り上がっている時、俺ー能登春樹は…。
大通りに出ると、車のライトが俺を照らした。
右を向くと、いつもの車があった。
そして、運転席にはいつもの仏頂面が居座っていた。
すぐさま車に乗り込む。
車内は翼が噛む、パイナップルミント味のガムの匂いが充満していた。
一瞬、目眩がした気がした。
「うわぁ、すごい雨だよね、びっくりしちゃったよ。」
「その傘はどうしたんですか?」
俺のマネージャー、片瀬翼は手際良く、俺にタオルを差し出し、車を発進させる。
「ああ、これ?ふふふ…借りたんだよ」
「傘ごときで、随分と嬉しそうですね、気持ち悪いですよ」
「失礼なっ!たかが傘、されど傘だよ?ていうか、気持ち悪いとか言うなっ!」
「その神様のこと、少し調べさせていただきました。」
「えっ?」
「春樹の今後にも関わることなので。」
雨はますます激しくなって、俺の心も冷えていくようだ。