「お母さんを守るために私は父を止めました。でも全然敵わなくて…何度も殴られて…何度も蹴られて…。
父が…憎くなりました。」
胸がわしづかみにされたみたいに…痛い
「それで、独自に護身術も勉強して、お母さんに黙ってバイトしたりしてました。こっそりお金の入った封筒に給料を入れとくんです。」
「あれは、確か…中3の夏。夜にバイトから帰って来ると…母が倒れていました。母は重い病にかかっていたんです。私には心配をかけまいと、1人で抱え込んで…。」
今でも鮮明に思い出せる。冷たくなった母の屍を。
「私はひとりぼっちになってでも…母の葬式に来てくれた親戚の方の1人に、今のキャバクラのママがいたんです。」
「その人に引き取ってもらって、ママがキャバクラを経営してるって知って。父の多額の借金を返す為に私は自らその道に行きました。」
「中3で…か。」
「うん。」
「だから、高校も行ってないんですのね。」
「うん…えっ?何で知ってるの?」
「だから、ちょっと調べさせてもらったんですの。」
「だからっ!個人情報保護法守って!」