店の外に出ると、大雨が降っていた。


「あれ?天気予報では晴れって言ってたのに。」

「なんだ、貴様。傘は持っていないのか。」

「はい…。」

「しょうがない奴だ。」


神は何やらガサゴソとリュックを探り始めた。


「ほら、貸してやる。」


それは、意外に普通の折りたたみ傘であった。


「いえいえっ、大丈夫ですよっ。大通りに出れば、車が迎えに来ますし。」

「大通りに出るには少々長い道のりだ。それに、すぐに車が見つかるという保証もないだろ。」


さらに、こちらに薄い水色の折りたたみ傘を差し出す神。


「ですが、これでは神が濡れてしまいますっ」

「アホか、貴様は。オタクたるもの、一つの物を3種類は持っていて当然だろう。我の分の傘はある。さっさと行け。」


「はいっ、では失礼しますっ!」


ぺこっとお辞儀をして、傘をさし、大通りへと歩を進めるのだった。


振り返らない。


どこまでもカッコよくて、愛らしい俺たちの神があまりに神々しかったから。