ジトッとした目で声の方を見ると、大量にいる女性の群れ、群れ、群れ!!
それを見るだけで頭がくらくらしてきた。
私は現在マンションの前にある、だだっ広い緑豊かな広場を横断している
ここらへんのスポットはよくドラマや映画の撮影で使われるのだ。
今回は噂の春樹くんが主役の何かかな。
群れで春樹くんの頭すら見えないので群れを通りすぎてマンションに戻ることにした。
「キャー!!春樹様〜!」
どんっ
「うわっ」
撮影場所が移ったのか、群れも移動し、私の行く先を阻む。それどころか、私が見えていないのかダイレクトにアタックしてきた。
「いった〜」
そして鈍い私はダイレクトに尻餅をついた。
「あんた、邪魔なのよ」
なんだ、その捨て台詞は。ムカつくな、だからミーハーは嫌いなんだ。
ていうか、ただあの人が礼儀知らずの人なだけかもだけど。
立ち上がろうとした時、すっと手が差しのべられた。
「大丈夫ですか?」
そこには無表情の紳士、片瀬翼くんがいた。