「萌花さんと翔太さんがフランスに帰っちゃった」


そう

あの2人も事件が片付くとすぐに日本を離れてしまった


「大丈夫ですわ。きっとまた会えますわよ。チャットでも会えるんですわよ。なぁんにも寂しくありませんわ。」


いつもと同じ微笑と、別れの旋律を奏でて去って行った

今度の公演がフランスなのだそうた


「かなり本店の方に顔出してねぇからな、そろそろ行かねぇと。腕もにぶっちまう。まあ、近いうちにまた会えるさ。じゃあなっ!!」

翔太さんもスペシャルディナーでおもてなししてから帰って行った





「それだけですか?」


「いや…じゅりなが…」

「え、安藤さんが?」





それは萌花と翔太がフランスへ帰った頃、じゅりなと春樹はマンションにいた
最上階のロビーにソファーに寄り添っと座っていた


2人とも部屋着の穏やかな日曜日
じゅりなはメガネをかけていて、コーヒーを頻りに飲んでいた

そして、意を決したようにじゅりなはカップをテーブルに置いた

春樹に身体を向け、背筋は伸び、いつになく力の入った目で春樹を見据えた







「私、このマンションを出るわ」