「春樹…春樹春樹春樹春樹春樹っっ!!!!!」
菖蒲はむくりと起き上がり春樹と対峙する
春樹は菖蒲の血に染まった服を見て、やるせない表情になった
「あなたが私をフッたからこうなったのよっ!!一体どれだけの女をフッてきたのかしらっ!!覚えてないんでしょうねっ!!」
菖蒲が興奮していく一方、春樹は落ち着いたものだった
「私はつらかった、あなたに振られて、他のフラれた女たちもそうよっ!!絶対に苦しかった!!あんたはその償いを受けるべきだわっ!!」
女はナイフを拾い上げ、両手に構える
「春樹っ!!」
じゅりなは春樹に駆け寄ろうとする
「水鳥。あやか。」
ハッと目を見開く菖蒲
春樹が穏やかに名を呼んだのだ
じゅりなの足も止まる
「あやか。あやめは芸名でしょ?」
「あ…ああっ…」
あやかから言葉とも取れない声が漏れる
「ごめん。あやかにこんなことさせて…ごめん。」
春樹は深々と頭を下げ、顔を上げた
「あやかとの思い出、忘れてたわけじゃない。だけど、あんまりにもキレイになってたものだから、あやかがあやめだって全然気づかなかった
だから君の二度目の告白も素っ気ないものになってしまった。もっと誠意を込めるべきだった
だけど、誠意を込めたってやっぱり俺が憎いかな。君をここまでにさせてしまった。本当にごめんなさい………
だから、あやか
昔のあやかに戻ってよ」
その言葉を受けて、ようやく…あやかはナイフを自ら捨てた
そしてすぐさま春樹のボディーガードをしていた刑事たちがあやかを連行した